休みの国国民祭を祝う by T&H

 T:休みの国ライブに行って来た。バレンタインデーに行く場所、行く相手ではない(笑) が、今回も当HP主宰者Hさんと同道。団塊世代の知人に「東京労音に国民祭に行く」と告げたら、「今時ご苦労様です」と誤解された。
 H:お互い様でんがな。お互いもはや義理チョコさえ危うい立場。せいぜい「休みの国」で安らぎましょうよ。

 T:なにせ「第8期休みの国」である。カイゾクさん(高橋照幸氏)が西伊豆に引っ込んで霞を食らう暮らしに入ってから、かれこれ十云年である。滅多に拝めるものではない。相当の覚悟が要る。例によって、最前列真中に陣取る。直ぐ目の前にカイゾクさんが居た。
 H:そうそう、貴重ですよ。何せ'91年に出た「FREE GREEN」が最新アルバムですからね。しかしそれにしてもホントにいつも最前列真中。譜面台が邪魔なくらいのポジション。カンパのつもりで買った缶チューハ飲みながら浸りましょう。

 T:曲目は(セットリスト後添参照)代表曲が網羅され、納得・安心の構成だ。土方鉄人監督率いるドキュメント映画撮影部隊(横に陣取ったカメラマンと話したら、「タカダワタル的」<4月新宿公開>と共通)が撮る映像もついでに見えて臨場感溢れる。
 H:偶然というか、業界狭いというか・・・。吉祥寺音楽祭も撮影したカメラマンだそうですね。

 T:カイゾクさんの歌は、ぎこちなく不安定で、声は良いが決して巧くない。演奏はもっと下手かもしれない。なにせ、マーティンD-28のギターはチューニング不可能で、当日買ったと言う2本のハモニカは使い物にならない。コードを探す左手がフレット上を彷徨っていて親近感が湧く(笑)。バックにあの’つのだ☆ひろ’と竹田裕美子が居なければ、どうなるか分かったものではない。つのだ氏曰く「カイゾク介護バンド」は言い得て妙。ブランクが長いとはいえ、もう少し練習した方が良さそう。
 H:コンサートというよりジャムセッションというかリハーサルをみているようで、尚更の貴重感。

 T:それでも、カイゾクは凄い。そのオリジナリティにおいて。過去の(30年前の)歌が、古びていない。今でもシュールでサイケでアシッドである。若い世代には、はっぴえんどと同時代に、日本にリアル・ロックの種を撒いたカルトバンド「ジャックス」の裏バンド(ボーカルが早川義夫からカイゾクに代わる)と紹介すれば、その稀少価値と重要度が分かろうか。
 H:30年前に初めて「追放の唄」を聴いた時のショックは今も覚えている・・・ 乾燥感というか砂埃舞う果てのないデコボコ道に放り出された無力感・・・

 T:以下、MCと言うか漫談的音楽講習と言うか・・・アンコールは忘れるは、ギターは間違えるは・・・、老いすら考えさせられる抱腹絶倒のライブでもあった。
 H:段取り台無し、ってやつですね。でもそれをイチイチつのだ☆ひろが解説してくれて・・・楽しめました。

     カイゾク 「(2曲終わってバックの演奏に満足し)うん、上手いね、君。」
     つのだ  「当ったり前ジャン!!生まれついてのドラマーよ。それにしても、リハの時より、全部テンポ遅くてフレーズ使えないヨオ。」
     カイゾク 「悪い演奏を『走る』って言うじゃない。『本番に強い』って言ってよ。」
     竹田   「『走る』のとテンポは別なのよ(笑) 」
     つのだ  「もし俺が先に死んだら君、どうすんのよ?ミュージシャン生命終わるよ。」
     カイゾク 「その時は、道端のフォークシンガーにでもなります・・・」

 T:最近、ついに漁業権なるものを獲得した結果、手作り大型ヨット「フリーグリーン号」も年間68万円の停泊料が12万円未満で済み、無職の身にはそれが一番嬉しいと言う。ライブ会場での物販収入でニューアルバムを製作したい(つのださんが、今のうちに製作させてあげたい)と言う。年末には再度東京でライブしたいと言う。日本フォーク・ロックの無形文化財ために応援しなくっちゃ。
 H:それにしても漁業権持ったカイゾクって、世界中探しても他にいないんじゃないの?

 T:最新作「風の生活」は、西伊豆の自然が歌い込まれた、(本人が歌謡曲化を懸念する)これまでとは違う歌だ。岡林信康や大塚まさじと同様、人は住む環境と加齢により、その音楽が変わる(場合もある)。それは自然なことと受け入れるしかない。

 T:いつか、ドキュメンタリー映画が完成したら、ライブ終了後、堅く握手する私と、名作「FY FAN」にサインを貰うH さんが、映っている・・かも?しれないな。
 H:CDのジャケットにサインをもらおうとしたら、「デザインにはこだわってるから」と怒られて、ジャケット裏にやっと頂きました。


<<セットリスト>>
1.ジャングル、2.旅するおばさん、3.フラリフラフラ、4.荒野の墓堀人夫、5.第5氷河期、6.STATION、7.悪魔巣取金愚、8.夕焼地帯、9.ヒューヒュー、10.レイジーマン、11.精神病院の中で、12.ドクターククー、13.追放の歌、14.夏の日、(以下、アンコール)15.フリーグリーン、16.風の生活、16.霧の中から(会場合唱)



<<出演>>
 カイゾク(高橋照幸):Vo.,G.  竹田裕美子:K.,Cho.  つのだ☆ひろ:Per.,Cho.  武藤○助:B.,G.,Cho.