TapeⅢ

高石ともや
日本最古のフォーク・シンガー、源流と言って問題無いだろう。この人がいなかったら岡林も出てこなかったかもしれないから。オリジナルソングは意外に少なく、アメリカン・オールド・タイムや民謡などを自分流に解釈して歌うことが多いうえ、ここ何年もマラソンランナーとして有名という感があるが、元祖の味はやはり格別。CDブックや最新アルバム「あわてなさんな」も出ているが、普通には入手出来ないのがもったいない。

明日なき世界
<高石ともやベストセレクション>
「思い出の赤いヤッケ」から入るのが常道かもしれないが、高石らしからずロックしているこの曲のインパクトは強烈で、「カッコイイ」と思った
陽気にゆこう
<高石ともやとナターシャセブン>
空前狂気の関西フォークブームから逃れアメリカで過ごした後、古き良きユトリのある楽曲をナターシャセブン(14年間小学校の廃校舎で暮らした福井県名田庄村より命名)と共に。前向きで元気が出る歌。
野の花のうたが聞こえますか
<さあ、陽気にゆこう>
歳月の重みや家族の歴史を、でも軽やかに感じさせてくれます。「生きてゆくことはこんなに自然なこと」と歌えると心が癒される。

 

杉田二郎
「戦争を知らない子供たち」はあまりにも有名で、ここには入れないが、やはり僕たちのテーマソング。坂上二郎のような顔?だが、野太い声は「男らしさ」を痛感させる。

題名のない愛の歌
<(青春は)まるで映画のように>
「愛とか恋とかふざけた文句をいくつ並べてもいいけど・・」と始まる最高水準のラブソングではないかと思う。同時期の北山修との作品「積木」や「男どうし」も名作。。
八ヶ岳
<再会>
作曲の高石ともやの方にも入れようか(アコースティックバージョン)と思ったくらいで、今回のテープの中でも最も好きな歌。訳アリ?で子供連れ・5年目の新婚旅行の歌だが、家族や父親像など感慨深く、岡林の「みのり」などに通じるリアルさ(本物)を感じる。

 

 

小坂忠
茫洋ほのぼのカントリーソング(初期)からティンパンアレーのボーカリストとしてのR&B色の濃いファンキースタイル(中期)、そして歌う牧師としてのゴスペルソング(後期)へ至るそれぞれがナカナカに良く、最近追いかけている存在。

機関車
<ありがとう>
シニカルな「ありがとう」やほのぼの懐かしい「みちくさ」「庭はぽかぽか」など、いずれも捨て難い中で、やはり機関車は名曲だ!(有名な<ほうろう>や最新<Peace3>にも収録)。唯一無二の不思議な世界。
早起きの青い街
<モーニング>
各誌で必ず名盤とされる<ほうろう>を、あまのじゃく的気分もあって外し、やはり名盤で本人も気に入っているという<モーニング>から、「これからは帰る港がある」と歌うこの作品を。心が安らぐ
主の愛
<メッセージ>
お嬢さんのやけど事故をきっかけに信仰の道に入った由で、私は信仰がある訳ではないので多少「キリスト」とかが気にならない訳ではないが(ボブディランの入信や岡林のエンヤトット宣言の時と同じ?)、しかしこの心は美しいと素直に思う。

 

あがた森魚
ついに出た管理人はまたにさん一押しの奇才。大正浪漫だったり足穂ワールドだったり、正直言ってかなりの変人には違いないと思うし、独特の歌い方が耐えられない向きも少なからずいる(赤色エレジーのヒットが不幸か)ようだが、アルバムのトータリティは天下一品。永遠の遠国二十世紀完結編CD化バンザイ。

大寒町
<ああ無情 レ・ミゼラブル>
なんて悲しくはかないロマンチックな歌なんだろう。まるで本当に映画の主題歌にピッタリ。心洗われる思い。
春の嵐の夜の手品師
<永遠の遠国>
やさしくてロマンティック。美しい・・(失語症状態)。
ウィンター・バスストップ
<詩集(ヴァージンVS)>
ノリの良さと切ない失恋?が見事にマッチし、一度聞いた時から病み付きになった歌。さあ、一緒に「ウィンタ・ウィンタ・ウィンタ・・」。

 

佐渡山豊
沖縄フォーク村の村長として、あの沖縄返還闘争の頃のデビューは衝撃的だった。一時期は岡林─加川良と続いたラディカル(本質的)フォークの跡継ぎと期待されたが、喜納昌吉と入れ替わるように、いつのまにか消えていた。永らくエレック盤さえ市場から消えていただけに、最近の(しかも確実に成長しての)復活は誠に喜ばしい。

ドウチュイムニイ 最近出たベスト盤はジャケットなど何だか嫌なものだったが、この1曲のために買った。やはり原点であり、当時はショックを受けた(歌詞をノートに書くのに苦労した)。今聴いても思った程気恥ずかしくなく、ニューアルバムでもさらにパワーアップして再演されている。
追憶の1号線
<さよならおきなわ>
まず、17年ぶりのこのアルバムが素晴らしい!。フォーク・ロック史全体の中でも(近年では「貘」と並び)名盤の中に入ると思う。普通なんだかんだ言っても73年前後にピークの来た人が多い中で、このような名曲(ほかにも「アラスカ」「あるがままに」)を今になって生み出すとは、流石に長く休んだだけのことアリ?(皮肉ッポイか)。最近は「基地で働き、有給休暇で歌って」いる。

 

喜納昌吉(とチャンプルーズ)
沖縄を代表するシンガー・アーティスト。「ハイサイおじさん」以来、本土に殴り込みをかけ、遂にアジアを代表するアーティストになった(のかな?)。この人のエネルギーは依然として凄まじい。

花(すべての人の心に花を)
<チャンプルーズ・ルネッサンス>
「上を向いて歩こう」かこの歌を国歌にするのが正解ではないかと思える永遠不滅の名曲。紅白歌合戦で歌われた時には心が震えた。

 

友川かずき
ト音には、友部正人、豊田勇造、そしてこの友川かずきと、妥協を許さず真髄を突く3大詩人が揃っていると、第2弾でも書いたが、この人が普通に聴くには最もキツイのではないか?。この人をかける時には周りに家族がいないことを確認し、かつ自らに気合いを入れる必要がある。

歩道橋
<初期傑作集>
友部の「乾杯」や「びっこのポーの最期」に並ぶ見事な詩にゾクゾクする。この曲も、ベスト選に是非入れたかったもの。
サーカス
<秋田ライブ~犬>
中原中也の有名な詩。見事な曲と歌唱。故郷での凱旋?ライブより。

 

河島英五
やや遅れてきた存在で「最後の大物フォーク歌手」と言われていたが、確かに身体も声も大きく迫力は一番だった。後年のカラオケの定番「時代遅れ」も名曲ではあるが、初期の歌にはスケールの大きな物が多い(なにせアルバムタイトルも<人類><運命><信望>の3部作だから)。

何かいいことないかな
<人類>
拓郎はDJで「今頃なんだろうね」と言いながらかけていたが、リアルタイム世代としては身につまされ、大いに胸がうずいた。青春の裏名曲である。

 

中川イサト
岡林<ラブソングス>などでの名ギタープレーヤーとして尊敬していたが、名シンガーでもあったことは恥ずかしながら後から知った。歌わなくなったのは残念だが最近の<FOOT PRINTS>など、インストアルバムも良い。

その気になれば
<お茶の時間>
なんとも気ダルげな、しとやかな名曲である。今回の選曲に癒し系が多いのは40代に入り、私も疲れてきたからか。。

 

シバ(三橋誠)
「本物のブルースシンガー」(高田渡)と紹介されて世に出た。多摩川の土手でタンポポを食べていたという「武蔵野タンポポ団」伝説も良く出来ていて、いかにもそれらしい。

埃風
<夜のこちら>
ファースト<青い空の日>も良いアルバムだが、このアルバムも名曲揃いの中からシブイ1曲。普通考え付かないタイトルか。


加藤和彦
ハイセンスの固まりのような人で、フォークル以来日本のニューミュージック?界を導いてきた功績は(細野晴臣と並び)大。泉谷などもこの人のお陰で<春夏秋冬><80のバラッド>などの名盤を残せた。

光る詩
<それから先のことは…>
ミカさんと別れ、安井かずみ(それも今は故人)との新しい生活に沿って作られたこのアルバムは、全体としてこんな暮らしがしてみたいと思わせるリラックスした癒しの名盤である。必聴

 

この後に細野晴臣の「はらいそ」が入ってお仕舞。3部作遂に完結す、です。

テープ時間の関係で、久保田真琴(夕焼け楽団)、三上寛等が入りませんでした。なお、ロックといえば、当然矢沢永吉、パンタ、RCサクセション、甲斐バンド、佐野元春などが入って然るべきなのですが、これは別枠と考えて下さい(はっぴいえんどや大滝詠一がないのも同じ理由です)。

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