♪ ぼくがいちばん歌いたかった時 ぼくのまわりには歌いたい歌なんて全然なかった だからぼくはしげみにかくれたり 敷石をたたいたりした ♪(ロックンロール)
友部正人の「リクエスト大会」('04.11.21吉祥寺スターパインズカフェ)に行って来た。今回は、Hさんのほか「26ばんめの秋」にいる新たなお仲間Wさんもご一緒。
今回のライブで思い知ったことは、「友部は疲れる」と言うこと。ホントただ聴いていただけなのに精根尽き果てました。多分(心身を鍛え直さない限り)もう2度と(こうしたフルライブは)聴けないかもしれません。これは決してネガティブな評価にあらず。むしろ、昔からの歌たちをリクエストに応えて次から次へと歌い倒していく彼を見て、改めて「これは物凄いパフォーマーだ!」と思い知った次第。
普通「乾杯」とか「フーテンのノリ」とかを、50歳過ぎてマジに、手を抜かず歌い切れるだろうか? 決して懐かしさで無く、今まさにそこに生まれ落ちた歌のような緊迫感と臨場感を持って歌えるだろうか? これは、他のフォークシンガー達にもできない、むしろ永遠のパンクロッカー青年(自己矛盾)のような輝きだと痛感した。
1.入場まで
過去にリクエスト大会経験は1度あったが、前回(2年前)は、丁度「T'sセレクション:友部正人編」を執筆しながら見送った。最近の友部の歌に以前のヒリヒリ感を感じられなくなっていたし、他に聴きたいアーティストも増えてきた。
今回は、Wさんという若手有望株の新規参入もあり、次世代への引継ぎを兼ねて同道を決意。ライブ会場まで自家から徒歩5分強の地の利を活かし、先ずは我が家で「友部を聴き、弾き、歌い、リクエストを決める」と称する前昼祭を経ての会場入り。
17時25分 入場前に、リクエスト用紙を渡される。既に酔っていて、用意周到な筈<笑>の割には今一「その場の気分」感は拭えないが、各自以下のリクエストを記入。
T:ぼくは海になんてなりたくない、フーテンのノリ、どうして旅に出なかったんだ
H:愛について、月の光、悦子
W:悦子、ぼくは君を探しに来たんだ、長いうで
さらに披瀝すれば、
▼私が事前に用意したメモには、あと7曲(計ベスト10)。
ロックンロール、だれもぼくの絵を描けないだろう、月の光、びっこのポーの最後、乾杯、あれは忘れ物、にんじん
▼Hさんの事前申告は、
上記+ 中道商店街、公園のD51、遠来、小樽運河発カナダ行き船
▼Wさんの事前申告は、
上記+ 乾杯、一本道、公園のD51、金もないが悩みもない、ぼくのこと君にはどう見えるのか
▼因みに弟からは、以下の5曲(新曲を含む幅広さが流石か)。
長いうで、中道商店街、Dのブルース、朝は詩人、愛について
▼レターフロムのS氏からは、
密漁の夜、ガーディナーさん、アルバムとしての「ポカラ」、「大阪へやって来た」
――ただし「最近の友部は風格あり過ぎてちょっと・・。もっとしょぼい時代の作品が良い」とのコメント付き。
2.開演まで
事前に会場で購入したチケットの整理番号は17,18,19番。数年前にHさんと来た友部ライブは2階席に陣取ったので、今回は1階というか半地下のステージ前を目指す。さすがに最前列から埋まり、3列目やや右寄りのテーブル付き席を確保。その右にはTVクルー。Hさんが話し掛けたら、吉野金次さんのドキュメント('05.1.2日
BSジャパンで放映)撮影隊らしい。「ご存知?」との問に「当り前でんがな、HOSONO HOUSEとかで有名」と答える。
事前にアルコールを注入して来たので、貴重な水分(ワンドリンク)を開演直前にゲットして、その時を待つ。
3.第1部
18時40分 友部氏、ふらっと現る。先ずは「アンケート集計中」を口実?に新曲を2曲。「ジョンレノンとピカソ」と「国際線のうた」。
終わると後方から集計結果が。いきなり「8位が19曲あります」。
<8位曲>
アイシャルビーリリースト、悦子、お日様が落っことしたものはコールタールの黒、終わりはじまる、涙、金もないが悩みもない、ガーディナーさん、水門、月の光、どうして旅に出なかったんだ、長井さん、長いうで、働く人、夢のカリフォルニア、ライクアローリングストーン、私の踊り子、もう春だね、田中さんとぼく
いきなり、凄い名曲の勢揃いだ!冒頭に「アイシャルビーリリースト・・」まさか9月のギター発表会でT&Wがカバーした曲が出てギクッ。そこで一声かければ歌ってもらえたが、この時点ではそのシステムに自信が無く、勇気も無く見送り(この時点で、WとHさんの「悦子」、Wさんの「長いうで」が消えた・・)。
この段階で「あと、上位に何があるの?」と思う。
―― 以下も、会場から声がかかった曲を演奏。選抜曲は本稿最後に掲示。
<7位曲>
公園のD51、空が落ちてくる、誰もぼくの絵を描けないだろう、びっこのポーの最後、ボロ船で、待ち合わせ、夕暮れ、6月の雨の夜チルチルミチルは
<6位曲>
大阪へやって来た、おしゃべりなカラス、君が欲しい、けらいのひとりもいない王様、少年とライオン、地球で一番はげた場所、ぼくの猫さん、ぼくは君を探しに来たんだ
4.第2部
休憩を挟んで、「アクシデンタル・ツーリスト」朗読の後、
<5位曲>
長崎慕情、中道商店街、ふあ先生、夜よ明けるな、ロックンロール
<4位曲>
あいてるドアから失礼しますよ、朝は詩人、反復、フーテンのノリ
「反復」が歌われた後、後悔先に立たずとばかり、思い切って「フーテンのノリ、お願いします!」と叫ぶ。「じゃ、少し長い歌ですが・・」と歌ってくれた。何せ個別リクエスト、感激。いや、友部さんの名古屋からの旅立ちが分かる良い歌だ。
♪目玉がひっくり返ることでもなければ 汚れたシーツをひっかくことでもない 漠然とした時間の中で生きること 手のひらに溜まった青い海 ♪
いよいよ、3位は、「愛について」、「乾杯」、「はじめぼくはひとりだった」
2位が「遠来」、そしてダントツの1位は「一本道」。ご本人は歌い飽きているのか「別に人気投票じゃないんですけどね」と2度呟いていたのが印象的。
途中で間違えると、最初から歌い直すこと、3曲。誠実と言うのか、不器用?と言うのか。それも長い歌だったりするから、嬉しいような辛いような。後日ご本人の書き込みを見ると「時差ボケが残っていたのか大事な所で間違いが多かったのが残念・・」とあった。
逆に言えば、譜面(というか多分歌詞とコードのみ、我が家にある弟製と同じ)をチラホラっと見はするものの、殆ど暗唱・暗コードなのは、いくら自分で作った歌とは言え凄い。Hさんも「ギターを握る握力だけでも凄い」と感服しきり。
リクエスト内に何故か「ジョンウェズリー・ハーディング」があり「誰の歌かな?」だって。意外にもボブ・ディランに疎かったりするのか?
それこそ♪ボブ・ディランなんて知らない 知っているのは音楽好きの若いアメリカ人 ぼくはその若さだけ信じてた♪みたい。
―― 通らなかったリクエスト「ぼくは海になんてなりたくない」より。
5.アンコール
段々お尻が痛くなる。ぎっしり詰まった客席で熱演を聴くこと3時間、エコノミー症候群のような?頭の痛さも。正直辛いが後一息。
忘れていた8位として「スピークジャパニーズアメリカン」。そして、Hさんリクエストの「愛について」が、残り物に福あり、と言わんばかりに歌われてハッピイエンド。
6.終演後
22時頃、いやー、勿体無い感想ではあるが、「やっと終わった」。疲れた。頭が痛い。人ごみに続き外に出た途端、Wさんが「いやあ壮絶でしたね」と呟いて三越脇の歩道にへたりこむのを、私は見た。
そのまま駅方向に向かう両氏と別れて、図書館横の欅の大木下に出ている屋台のラーメン屋を片目に家路に付き、倒れ込むように寝た。
後から、友部HP掲示板を拝見すると、友部さんは打ち上げとして、なんとあのラーメン屋台で日本酒の熱燗を3杯お代わりし、「疲れていたのか、車に乗ったらあっという間に眠ってしまったらしい」って。そりゃ超人ハルクじゃあるまいし、あれだけ熱演したら当り前ですよ、友部さーん。
♪乾杯! 取り残されたぼくたちに
乾杯! 忘れてしまうしかないその日の終わりに
乾杯! 身元引受人のないぼくの悲しみに
乾杯! 今度会ったときにはもっともっと狂暴でありますように♪(乾杯)
7.次回
異例のことだが、次回のライブ探訪が決まっている。今度も聖地とも言うべき下北沢はラ・カーニャ、またも偉人と言うべき加川良、なんとクリスマスイブ!!。なのにWさんと年の差カップル野郎同士編。お互い何を好き好んでの、、、嘆かわしい人生と言えよう<笑>。
当日のセットリスト(友部掲示板管理人さんの書き込みより引用させて頂きます)
ジョンレノンとピカソ(新曲)
国際線のうた(新曲)
<8位=3票>
月の光
お日様が落っことしたものはコールタールの黒
長井さん
水門
<7位=4票>
待ち合わせ
ボロ船で
6月の雨の夜チルチルミチルは
夕暮れ
<6位=5票>
地球の一番はげた場所
おしゃべりなカラス
-休憩-
アクシデンタルツーリスト(朗読)
<5位=6票>
中道商店街
ロックンロール
<4位=7票>
反復
フーテンのノリ
<3位=8票>
はじめぼくはひとりだった
乾杯
<2位=9票>
遠来
<1位=20票>
一本道
<忘れられていた8位=3票>
スピークジャパニーズアメリカン
アンコール
愛について(3位)
以 上