フォークの達人 斉藤哲夫ライブレポート

♪色褪せてゆくしかない 昨日にしがみつき
   幸せだったと肩叩き合い グラスを傾ける
     懐かしい流行歌を 小さく口ずさむ
      そんな君の言葉にならない 痛みが僕には分かる♪ (「昨日・今日・明日」)

 07年8月某日猛暑の夜、斉藤哲夫さん(詳しくは「人物編」参照)のNHK「フォークの達人」収録ライブに行って来た。
 場所は南青山MANDALA、同行者はいつもの?管理人H氏。私が駄目元で出した応募が当たり、友川カズキ以来2度目の公開録画参戦である。  整理番号17番だったが、何故か正面ドまん前の席が空いており、T・H並んで着座。10月6日(土)23時からのBS2、客席の映像が楽しみなような怖いような<笑>。
 
 ほぼ定刻に斉藤さんが登場してライブ開始。開口一番「映像の時代には厳しい。もう57歳ですから」。途中、昨年の「クリスマスの約束」出演時に、小田和正から「君は歌う時、力の入れ過ぎなんだよ。もっと楽に」と言われた話や、今も音楽とは別の職場を持っていることなどをMC。
 序盤は、ギター1本での演奏に関し、「NHKのプロデューサが『フォーク』にこだわってるんですよね。後半ロックになりますが<笑>」とも。
 バックアップはピアノのさがみ湘さんと、女性3人バンドのTHE NEWS。ドラムスは21歳の美形。「娘と同い年」だそうな。団塊世代中心の客席から、思わずどよめき(溜め息?)も漏れる。

セットリストはこちら。
<まずはソロで弾き語り>
1.長屋の路地 / 1曲目は、意表をついて高田渡のカバーから
2.吉祥寺 / 2曲目に出ました!定番の名曲「吉祥寺」だ
3.淋しい気持ちで / またも、カバー曲。シバ(ないし武蔵野たんぽぽ団)より
4.さんま焼けたか / 下町情緒と人間賛歌。H管理人の好きな歌。小田和正のアドバイスで力を抜いて(?)うたった。
5.こんなはずじゃなかった / ヨシンバと吹き込んだ、比較的最近(01年)作品
6.くよくよするなよ / ご存知ボブディラン作品の日本語訳。画家・永井博氏(って、あの「A LONG VACATION」ジャケットのか)のカバーらしい
<ここから、さがみ湘のピアノと>
7.僕の古いともだち / ニューアルバムに再録予定の由
8.バイバイグッドバイサラバイ / 出ました。代表作なんだろうな、これが
9.昨日・今日・明日 / 金森幸介のカバー。こちらの方が、人生経験分、重みが増している
10.悩み多き者よ / 初期の代表作、心に響く詞と曲
<ここから、バックにTHE NEWSがついて>
11.椅子の生活 / これも永井博氏のカバーらしい。この曲だけ、知らなかった
12.甘いワイン / 近年の斉藤哲夫の愛唱歌
13.夜空のロックンローラー / THE NEWSのコーラスが、一捻りありで、イカしてた
14.今のキミはピカピカに光って / 「僕のヒット作を」と。よもや、この曲をフルコーラスやるなんて。公共放送の圧力か?
<再び、さがみ湘のピアノと>
15.あなたの船 / 盟友:渡辺勝のカバー。メロドラマっぽいが?、ラストに持ってくるだけに気に入ってるみたい。

 番組にどれが使われるか(割愛されるか)はお楽しみだが、全体にカバーが多かったのが、やや意外。自作にもっと良い曲があるので、この際自信を持って歌っちゃえば良いのに、チョットもったいない気も。この辺りに、人の良さと言うか押しの弱さが垣間見える感も。
 
 例えば、「斜陽」とかも聴きたかったな。私的には、「昨日・今日・明日」と「夜空のロックンローラー」が良かった。
 
 全体に、正直(当たり前だが)歳取った感はあり、メロディも一部変えているほか、声も往時の伸びやかさは失われた。「それも味があって良いのでは」とHさんは言っていたが、最大の特長が減じられたみたいで、なんとなく淋しい。
 
 アンコールが無かったのも、何だか物足りない。てっきり究極の名作「グッドタイム・ミュージック」を最後に残しているんだと思ったのだが・・・(演奏が難しいのかな)。ご本人は「この後、告井延隆(センチメンタル・シティ・ロマンス)&あがた森魚さんとの対談を収録するし、喉も限界です」とのこと。確かに、後半声がかすれがちではあった。
 
 最後にプレゼント報告。「アルバムを出したい」と言ってましたヨ。早ければ年内にお目にかかれるかも。楽しみに待とう!
 
 ♪悩み多き者よ 時代は変わっている
    全てのことが あらゆるものが
      悲しみの朝に苦しみの夜に
       絶えず時はめぐり 繰り返されてる♪ (「悩み多き者よ」)
 
 次回のライブレポートは、10.20御歌囃子(岡林)信康の36年ぶり「狂い咲き2007」になるだろう。日本フォークファンは日比谷野音に集結せよ!

以  上